秋のツーリングの計画を立てていたときに、ふと「そういえば昔、フルサイズが欲しかったな」と思い出しました。
写真の腕に不満があったわけではありません。仕事で観光地やホテルの広報写真を撮っていた時期があるので、機材の限界も、良い写真の基準もある程度は知っているつもりです。それでも、D3500やD7200を使っていた頃から、フルサイズには漠然とした憧れがありました。必要に迫られていたというより、「フルサイズの方が良いんだろうな」という想像とロマンに近いものです。
きっかけを思い出したことで、久しぶりにNikon Z5、SONY α7III、Canon RPあたりのミラーレスを、夜な夜な調べる日々が始まりました。
先に書いておくと、今回は買いませんでした
結論から書きます。今回はフルサイズを買わず、クローゼットに眠っていたD3500とD7200をそのまま使うことにしました。理由は一言で言うと「使う場面を具体的に想像したら、今持っているもので十分だった」からです。
とはいえ、そこに至るまでには何度も気持ちが揺れました。その過程を残しておきます。
iPhone 14 Plusと、型落ちの一眼レフでできなかったこと
普段の撮影はほぼiPhone 14 Plusです。困っていたのは主にズームとボケでした。昔D3500やD7200で撮っていたときにできていたことが、スマホだとどうしても難しく感じていました。
ツーリングの荷物はできるだけ減らしたいので、カメラを持ち歩くこと自体にハードルがあります。それでも「カメラを持っていけば、道中で撮る気になるかもしれない」という期待もありました。
調べたのはZ5・α7III・RP、ついでにD750
しばらくカメラ市場を見ていなかったのですが、調べてみるとミラーレス化が進んでかなり軽量になっていました。この「軽くなっていた」という事実に、まず気持ちが動きました。
具体的に候補に挙げたのは次の4台です。
- Nikon Z5
- SONY α7III
- Canon RP(ここまでが第一候補)
- Nikon D750(参考として、一眼レフも視野に)
作例についてはある程度想像がついていたので、そこで気持ちが上がることはありませんでした。テンションが上がったのは、軽さと価格です。特に「本体だけなら中古で10万円前後で買えそうだ」と気づいた瞬間は、かなり気持ちが前に出ました。
まずは、当時見ていたポイントを整理しておきます。
比較したときに見ていたポイント
| 観点 | 惹かれた点 | 引っかかった点 |
|---|---|---|
| 本体価格(中古) | 10万円前後なら現実的に手が届きそう | レンズを含めると一気に予算が膨らむ |
| 重さ | 昔のフルサイズより明らかに軽い | それでも今の手持ち機よりは重くなる |
| レンズ | フルサイズ専用の描写に期待 | フルサイズ用レンズ自体が高額 |
| Nikon(Z5)を選んだ場合 | 今までのメーカーを継続できる安心感 | マウント規格が違い、手持ちレンズが使えない |
| 中古という選択肢 | 予算を抑えられる | シャッター回数非公開の店が多く、状態が見えづらい |
レンズも含めて考えたら、話が変わってきた
本体10万円前後というのは、あくまで本体だけの話でした。実際に使いたい構成を考えると、フルサイズ用のレンズも必要になります。フルサイズのレンズはそれなりの価格で、本体とレンズを合わせると20万円前後になりそうな見込みでした。
Nikonであれば今までの資産を活かせるかと思いましたが、Z5はマウント規格が異なり、今持っているレンズはそのままでは使えません。フルサイズのスペックを活かそうとすると、結局レンズも買い直すことになります。ここで、一度立ち止まりました。
結局、私が一番重視したのは「使う頻度」でした
スペックや価格を比較していく中で、最終的に一番効いてきたのは「実際にどれくらいの頻度で使うか」という一点でした。軽さやレンズの描写にどれだけ惹かれても、使う場面が具体的に想像できなければ、20万円という金額には見合わないと感じるようになっていきました。
中古という選択にも、引っかかりが残った
候補はどれも発売から年数が経っている機種です。シャッター回数を公開しているショップは思ったより少なく、「状態良好」という表記だけでは、内部の実際のコンディションまでは分かりません。精密機械なので、購入後に動作不良や汚れが見つかるようなことは避けたいと考えていました。
このあたりで、期待と不安が同じくらいの重さになっていたと思います。
手持ちのD3500・D7200を、あらためて触ってみた
そんな時に、今のD3500やD7200が今でも通用するのかをAIに聞いてみました。返ってきたのは「全く問題なく使える」という答えでした。
実際に手元の機材を確認してみると、レンズも揃っていますし、きちんと保管していたおかげで動作にも問題はありませんでした。「どうせ撮って保存しておくだけなら、これで十分では」という考えが、少しずつ大きくなっていきました。
決め手になったのは、フルサイズを実際にどんな場面で使うかを具体的に想像したことです。ツーリングで何百枚も撮るわけではありません。20万円をかけて手に入れたとして、それをどれくらいの頻度で使うだろうかと考えたとき、答えに詰まりました。
仕事で撮影をしていた頃の感覚も影響しています。画素数やセンサー性能は、ある程度のところで頭打ちになっている実感が以前からありました。フルサイズにしたところで、印刷したり大きな画面に出したりしない限り、違いに気づく場面はそう多くないだろうと考えました。
正直に言うと、そもそもの動機がロマンや所有欲寄りだったことは自分でも分かっています。その比率は決して小さくなかったと思います。それでも最終的には、実用面での判断を優先しました。
買わなかったことで、良かったこと
- 予算を20万円近く使わずに済んだこと
- レンズ規格の買い替えという面倒を避けられたこと
- 中古品特有の「動くかどうか分からない」不安を抱えずに済んだこと
- 浮いた分でユーロトップケース 45L キーレスキットを購入できたこと(ただしこちらはかなり大きめのサイズで、結局そこまで荷物を減らさなくても良さそうだという、別の意味でのオチが付きました)
それでも残っているモヤモヤ
Canon RPであれば、新品でも無理をすれば買えなくはない価格でした。ただ、その「無理」に見合うだけの対価がはっきりとは見えなかったので、購入は見送りました。今のところ後悔はありません。
浮いた予算でユーロトップケース 45L キーレスキットを購入したのですが、これがなかなかの容量で、実際に積んでみると「そこまで荷物を切り詰めなくても良さそうだ」という、想定していなかったオチが付きました。この経緯はまた別の記事にまとめようと思っています。
一方で、フルサイズへの憧れそのものが消えたわけではありません。またふとした瞬間に、同じように調べ始める可能性は残っていると思います。
こんな人には今回の考え方が参考になるかもしれません
- 手持ちの機材(型落ちの一眼レフやミラーレス)がまだ動く人
- ツーリングや旅行など、荷物を減らしたい場面で写真を撮りたい人
- 「フルサイズが良さそう」という漠然とした期待から検討を始めた人
- 中古品の状態が分かりにくいことに不安を感じる人
向いていないかもしれない人
- 動画撮影のために最新のセンサーやオートフォーカス性能が必要な人
- 印刷や大画面での鑑賞を前提に写真を撮っている人
- 仕事など、明確にフルサイズのスペックが求められる場面がある人
まとめ
「本当にフルサイズが必要か」という疑問は、昔から繰り返し語られてきたものだと思います。動画を撮る人であれば最新機種が必要な場面は多いですが、静止画に関しては、今の時点でプロ以外にはオーバースペックになっている場合も多いのではないかと感じています。
今回は、憧れと実用性を天秤にかけた結果、手持ちのD3500・D7200でこの秋のツーリングを走り切ってみることにしました。

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